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日々の一部始終

「青春映画学園祭」のこと

この週末は、「青春映画学園祭」というイベントに参加した。

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このイベントはGucchi's Free Schoolという、日本で劇場公開されていなかったり、日本版のDVDが発売されていない映画を紹介している映画サイトが企画したもの。

サイトはこちら

gucchis-free-school.com

 

今回の映画祭では、「6才のボクが、大人になるまで」でお馴染みリチャード・リンクレイター監督の「Slacker」等7作品が3日間で上映されたんだけど、その内の2作品「ビヨンド・クルーレス」・「スペクタキュラー・ナウ」を見た。

その映画の感想も後ほど書くとして、「ビヨンド・クルーレス」上映後の山崎まどかさんと長谷川町蔵さんのトークショーが面白かったので、気になった点を3点メモしておく。

 

  1. ジョン・ヒューズ映画の影響で80年代アメリカの文化系の子供たちはThe SmithやThe Cureといった80年代のUKバンドを聴いているっていうイメージが出来ているけど、実際はそんなことはなかったはずで、歴史が改ざんされているのでは。最近の有名な例だと、ストレンジャー・シングスの行方不明になる子供のお兄ちゃん。恐るべしジョン・ヒューズ。 


    Stranger Things: Will Singing The Clash

  2. ティーン向けの映画に出たことを黒歴史にする役者がいるけど(例:「恋のから騒ぎ」に出たヒース・レジャー)、後にそのティーン向けの映画(この映画は必ずしもその時一番売れた映画とは限らないところもポイント!)を見て、影響を受けた人達がクリエイターとして第一線で活躍するようになると、彼らを再び抜擢して、そこからキャリアが巻き返せるなんてことも起きているから、あんまり黒歴史にしない方がよいのでは?(例:「ヘザース」に出てたクリスチャン・スレーターとウィノナ・ライダーはそれぞれ「Mr.Robot」と「ストレンジャー・シングス」で人気再燃中)


    10 Things I Hate About You: Can't Take My Eyes Off You (Heath Ledger)

  3. 学園映画というのは、若い監督・俳優が必要なジャンルであり、年代が進むにつれて、基本的なフォーマットやお約束はありつつも、実はアップデートされている。例えば、最近で言うと「DOPE」のようにキャラクターに多様性が出てきたりとか。また、作り手の学生時代がどうしたって反映されてしまうものであるから、そういう要素を考えながら見てると飽きない。二人の口から出た注目作品は「ドープ」の他に「ぼくとアールと彼女のさようなら」(これは面白かった!)、「スパイダーマン・ホームカミング」、「Dear White People」、「The Edge of Seventeen」


    「DOPE/ドープ!!」予告編

     

 

トークショーのメモは以上で、簡単に映画の感想を書いておくと、「ビヨンド・クルーレス」は95~04年くらいの200本ほどの学園映画を5つの章に分けて、カットアップしたりして「アメリカの学園映画とはなんぞや?」みたいな真理に迫る作品だった。プールサイドのラブシーンがどんどん流れてくるシーン圧巻だった。ジェイク・ギレンホールが無菌環境の部屋で育てられてたけど、好きになった隣人のためにとうとうその部屋を出て、旅に出る「バブル・ボーイ」が超面白そうだった。

「スペクタキュラー・ナウ」は、ここまで直球の設定の青春映画も珍しいのではと思った。主人公もヒロインのキャラクターもどこにでもいそうな感じだし、二人の間に立ちはだかる障害もどこにでもありそう。丁寧っちゃ丁寧なんだけど、どこか物足りなく感じてしまった。「セッション」のマイルズ・テラーはジャズドラマーを目指さないし、「ルーム」のブリー・ラーソンは部屋に閉じ込められることもなく、高校を卒業する。

 

「青春学園映画祭」は志も高いけど、敷居はそれほど高くなくて、手作りのパンフレットのクオリティも500円とは思えない超充実の出来で良きイベントでした。

彼らが以前企画した「アメリカン・スリープオーバー」(傑作!)のアンコール上映が決まったみたいなので、気になったかたは見てみるといいかも。


『アメリカン・スリープオーバー』予告編(日本語字幕付き)