白川克「会社のITはエンジニアに任せるな!」
IT系の会社の説明会などに行くと、「会社の経営層がITを理解していない」とか「今後の業務や経営の改善のためにITが欠かせない」といったフレーズを聞く。そういったフレーズを何度も聞くうちに、「でもITを理解していないってどういうこと?矮小化しているけど、その経営層の人たちだってiPhoneぐらいはきっと使いこなせてるじゃん」みたいな疑問が浮かんできた。
そんなときに勧められた本がこれ。
会社のITはエンジニアに任せるな! ―――成功率95.6%のコンサルタントがIT嫌いの社長に教えていること
- 作者: 白川克
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2015/12/04
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズというITコンサルの会社に勤める著者が書かれた本で、ITの技術的な解説や最新の技術動向に触れることはせずに、「会社にとってITはそもそも何なのか」を解き明かし、ITを武器にできない理由や武器にするための方法を提示してくれているので、ITに明るくない自分でも読みやすかった。
自分用に整理してまとめておく。
まず会社にとって重要なITというのは、販売管理システムや生産管理システムといったいくつもの機能が複雑に組み合わさっていて、業務と不可分のシステムを指す。また、業務と不可分ということは、そのシステムの質が競争力の源泉になりうるので、綿密な投資計画を立てることが求められるということ。
また、ITプロジェクトは往々にして金額で表現できるような効果がバリバリ出るようなプロジェクトにならないケースがあり、そういったときに社長や経営陣から投資を認められないこともあるとのこと。しかし、実際には数値化しにくい定性的な効果やノウハウの引き継ぎといったメリットがあるので、そこを認めてもらうように説得するのが大事とのこと。あとは、スケジュールとその時期に応じた意思決定。
また、通常のITプロジェクトは成功率が30%となかなか低い。しかし、IT部門だけでなく、経営層と業務部門を巻き込むことによって、成功率を上げることができるとのこと。この3者をまとめる仕事がとても大事で、話を聞き、全社最適の観点から方針を決断して丁寧に説得していくことが求められるということ。そういった仕事ができる人物は、不確実で前例のない仕事に取り組むための、リスクを恐れずにゼロベースで考える姿勢が必要とのことで、実際リーダー経験がある人がつとめるとうまくいくことが多いとのこと。
簡単にまとめるとこんな感じ。途中に書かれていた、ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズのクライアントとの関わり方はとても理想的だなと思いました。しっかりクライアントの人を育てるという姿勢は他のコンサルティングファームでは聞いたことがなかった。
このエントリを著者の方に読んでもらえたみたいで感想をいただいた。こういう反応をもらえるのは素直に嬉しい。