Reach For Tomorrow

2017年卒予定の大学生です。日々感じたことを記しておくブログです。

「出版文化論」佐々木敦×九龍ジョーの感想

今日の4限、映画論の授業中にたまたまtwitterを見ていたら佐々木敦氏が、5限の出版文化論の授業のゲストスピーカーにライターで編集者でもある九龍ジョーさんが来ることを告知していた。たまたま5限空いていたし、他学部の授業であるが迷わずモグることを決意。

九龍さんは、音楽だけでなく、様々なカルチャーの面白い(面白くなりそうな)モノや人を察知する感覚が鋭くて、いつも彼のツイートや記事、以下のような著作を通じて、自分が知らない世界を教えてもらっている。 

メモリースティック  ポップカルチャーと社会をつなぐやり方

メモリースティック ポップカルチャーと社会をつなぐやり方

 
遊びつかれた朝に 10年代インディ・ミュージックをめぐる対話 (ele-king books)

遊びつかれた朝に 10年代インディ・ミュージックをめぐる対話 (ele-king books)

 

今年、初めてプロレスを見に行ったのも、九龍さんの本がきっかけの一つである。 

m-tenenbaum.hatenablog.com

 

今回の授業では、九龍さんのそれまでのキャリアを振り返ることがテーマになっていた。大教室で行われている授業だったので、自分のように九龍さんのことを知っている人がいれば、一方でおそらく単位目当てでこの授業を履修しているんだろうな〜っていう人もいて、そういう人にもわかりやすいように(cero、坂口恭平、大森靖子、又吉など、九龍さんが関わっているクリエイターの固有名詞は出てくるものの、彼らについて特に掘り下げたりはしていなかった気がする)九龍さんのキャリアが振り返られていった。

余談としては、ギリギリで教室に着いたから前の方の席に座っていたのだけど、それより遅れて前の席に座った人が九龍さんの話によく笑うなーと思っていたら、カルチャーブロスの編集長だったことが最後に判明してびっくりした。

 

1時間半があっという間の授業だったけど、その中でも特に印象に残った点を3点にまとめる。授業中のメモをもとに書くから、一部ニュアンスが違ったりするかもしれないけど。

  1. とにかく本を読んで、本の中に師匠を見つけろ
  2. 至る所が現場になりうる
  3. 好きなメディア(雑誌や出版社)ではなく、苦手なメディアに関わる方が仕事が来るよ  

 1. とにかく本を読んで、本の中に師匠を見つけろ

九龍さんは、「現場」にいるイメージが強かったので、これが一番意外だった。クリエイターの人が考えていることを整理したり、アドバイスをするためには、知識が重要だから、時間のある学生のうちに様々な本(哲学など)を読んで、自分の本の中の師匠のような存在を見つけようと言っていた。授業中に言っていた本にはこんなのがあった。

 

ガール・ジン 「フェミニズムする」少女たちの参加型メディア

ガール・ジン 「フェミニズムする」少女たちの参加型メディア

 

  

ヴァレンシア・ストリート

ヴァレンシア・ストリート

 

このあたりの本の話をしているときの熱量と、話の展開の速さはさすがプロってすごい感じた。

ちなみに、九龍さん自身が様々なジャンルに詳しくなった要因(気になっていた)は、男子校時代にプロレス、デスメタル、お笑いに詳しくなって、そこからどんどん掘り下げていくうちに、立川談志につながったりした経験や、大学生時代にも障害者支援の団体に関わったこと(このエピソードが秘密にしたくなるくらい面白かった)からドキュメンタリー映画を知ったりした経験が大きいらしい。

今は、面白いと思う若者と一緒に遊んだりしているうちに、その若者のつながりで色々な人やモノを知ったりするらしい。そして、その遊んでいる若者の一部が有名になったりするらしい。

「面白いと思うことを話してくれれば、その人のモノの見方とかわかる」みたいなことを言ってたけどそれは本当にそうだと思う。

 

2.至る所が現場になりうる

自分自身がよく現場派のライターだと評されることが多いけど、みたいな所から派生して、このことを言っていた。例えば、確かにキンプリの応援上映、テニミュなどの現場に行ってみると、ライブハウスと映画館の垣根がなくなりつつあるのではといった仮説は生まれる。でも、現場というのは、別に必ずしもそういった場だけのことを指すわけではなくて、何かが起きていればそれは現場なんだから、今でいったらyoutubeを見るパソコンの前だって現場になりうるよ、とのこと。この話を聞いたときは、tofubeatsやマルチネを連想した。

ちなみに、今はそういったニュージャーナリズム型のライターは少ないから、そういった現場で感じたことを記事にできるライターを目指すのはアリとのこと。確かに、キンプリのことを映画批評の文脈だけで語っても、片手落ち感はする。

 

3. 自分らしい企画が通るのは好きなメディア(雑誌や出版社)ではなくて、むしろ反対

これは九龍さんの自論らしく、何回か言っていた。九龍さん自身、太田出版に在籍していた時、クイックジャパンは嫌いで、 嫌いだったからこそクイックジャパンに仕事で関わるようになったときも、自分が考える企画は他の編集者とテイストが異なっていたので、それが自分にしかできない仕事としてどんどん認められていくようになったとのこと。今勤めている出版社でも、大森靖子や長渕剛の本を出すことができているのはそのスタンスを変えていないかららしい。

 

他にもたくさん面白い話があって、もぐって本当によかった!