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ミランダ・ジュライ「あなたを選んでくれるもの」でインタビューとは?を考える

前も書いたけど、インターンでWebサービスを運営している人にインタビューをする機会が多く、人が熱量高く話をしているところに立ち会うのはやっぱり楽しいな〜と思っていたところに、インタビューに関連する素敵な本を読んだ。

 

あなたを選んでくれるもの (新潮クレスト・ブックス)

あなたを選んでくれるもの (新潮クレスト・ブックス)

 

まず、著者のミランダ・ジュライに関して説明しておくと、彼女はライオット・ガールのムーブメントに影響を受け、映画監督として「君とボクの虹色の世界」でデビューした後、作家としても「いちばんここに似合う人」という作品を出すなど活躍中の才人。アメリカではヒップスターを中心に人気がある模様で、下の記事を読むと、様々なカルチャーの接点になっている感じがする。

 

thesignmagazine.com

 

今回の「あなたを選んでくるもの」は、前述した「君とボクの虹色の世界」の次の作品の脚本作りに煮詰まった彼女がフリーペーパーに売買広告(大きなスーツケースを20ドルとかクリスマスカードの表紙の部分のみ50枚を1ドルとか)を出している人々を訪ね、話を聞いた時の模様を作品にしたもの。

 

この本に出てくる登場人物は全員、一般人なのにキャラクターが濃い。具体的には性転換の途中の人、やたら動物を飼っている人、ガレージセールで赤の他人の写真アルバムを買いあさっている人などなど。自分は特に、犯罪者で足首にGPSをつけている人のインタビューがちょっとホラー的な趣があって好き。彼らは、いかにも「自分は変です」感を出しているのではなくて、普通に生きようとしているけど、どことなく違和感が少しづつ漏れ出てしまっている感じ。

 

彼らが今まで生きてきた人生の断片が垣間見えてしまうエピソードが続くので若干くらってしまいながら読んでると、最後のエピソードで大分気持ちが救われる。

人はみんな自分の人生をふるいにかけて、愛情と優しさを注ぐ先を定める。そして、それは美しい、素敵なことなのだ。でも、独りだろうと二人だろうと、わたしたちが残酷なまでに多種多様な、回りつづける万華鏡にはめこまれたピースであることに変わりはなく、それは最後の最後の瞬間までずっと続いていく。

ここから先の文章でさらに胸が詰まりそうになるので、気になる人はぜひ読んでみてほしい。訳者の岸本佐知子さんはさすがです。あと、この曲のことを久しぶりに思い出した。


Rollin' Rollin' /七尾旅人 × やけのはら - YouTube

 

Rollin' Rollin' 回り続ける 運命に 運ばれて

Rollin' Rollin' 忘れたまんま 知らない場所まで 流されて

 

ちなみにこの「あなたを選んでくれるもの」に関するイベントにも参加したので、そのレポートはこちらから

m-tenenbaum.hatenablog.com