Reach For Tomorrow

日々の一部始終

トウキョウソナタ

9/23 シネマヴェーラ渋谷 黒沢清特集

感想

2回目の鑑賞。何年か前に見たときも、「ゼロ年代傑作映画特集とかでメディアに取り上げられるのも納得の面白さだなー」と思ったけど、「大地震起きないかなー」というセリフが現実になり、軍隊に入るという行動も絵空事でなくなっている2015年に見ると話の強度がより増していると思った。

ハッとするような社会批評映画でもあり、良質なホームドラマでもあり、ファンタジーでもあり、様々な切り口で語れるけど、笑う場面がたくさんあるから身構えすることなく見れる映画。
ラストのドビュッシーは2回目でも最高

「岸辺の旅」が楽しみだ


その他雑記

・津田寛治の娘が今をときめく土屋太鳳でびっくり。デビュー作らしいけど、印象的な役。wikiによると、この映画の香川照之や津田寛治に影響を受けて、役者の道を志すことにしたらしい。いい話。
・「誰かあたしを引っ張って」をはじめ、キョンキョンが最高。香川照之も顔芸しないから最高
・アンジャッシュ児嶋、今のキャラも好きだけど、こういう役もどんどんやって欲しい。
・少年たちが渋谷から原宿方面に逃げるのに、恵比寿の公園で捕まるのちょっと納得いかない
・家の前の通りが出てくる。普段何気なく歩いている通りも、映画的に映っていてすごい。
・映画館で見たことによって、他のお客さんの反応が伝わるのがよかった。DVDで見たときより、たくさん笑った。

 

映画長話からの抜粋

www.amazon.co.jp

授業中の暇な時間に読んでいた蓮實&黒沢&青山の「映画長話」でも度々「トウキョウソナタ」の話が出てきた。

 

・印象的なバスターミナルのシーンについて

あのバスターミナルのシーンは、これは僕ではなく共同脚本の田中幸子という若い脚本家が思いついたんですが、彼女の稿に、息子がバスに乗っていく、その別れ際に敬礼すると書いてあった。これを読んだ瞬間鳥肌が立ち、正直「すごい」と思った。これがあるなら、あえて狙ったような場所ではなく、本当に何でもない場所でいい。何でもない場所というのはたぶん実際のその場所だと。それでああなりました。(成田空港に行く箱崎のバスターミナルで実際に撮った)

 

・小津安二郎からの影響

 バスターミナルの敬礼のシーンや、次男が階段から落ちてくるシーンには小津作品(「秋刀魚の味」、「風の中の雌鶏」)からの影響があるのではという指摘に対して、バスのシーンは意識してなかったとのこと。一方で、階段落ちのシーンは、スタッフが「これがやりたいんですよね?」と聞いてきて、「やりたくないんだけど、これで撮りたいんだよ」って感じだったのことで、影響を認めている。