メリル・ストリープは以前からスピーチの名手だったことがわかる本 「巨大な夢をかなえる方法」
メリル・ストリープがゴールデングローブ賞の授賞式で述べたスピーチが瞬く間に話題になっていた。
和訳は上のリンクから読める。
英語の書き起こしはここで読める。
実際に話している映像を見たときに、ライアン・ゴスリングのところで会場に笑いが起きていて、その部分を私は聞き取れなくて気になっていたのだけど、書き起こしを参考にすると"like all nicest people"と言っていたみたい。
フットボールとマーシャルアーツをわざわざ引き合いに出したのは上手ではないと思うけど、実際にここまでインパクト出している点に関しては素直に言葉の力を感じる。
そのスピーチを聞いたときに思い出したのがこの「巨大な夢をかなえる方法」という本
- 作者: ジェフ・ベゾス,ディック・コストロ,トム・ハンクス,サルマン・カーン,&9 その他
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2015/03/11
- メディア: 単行本
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アメリカの大学の卒業式講演は日本のそれとは比べものにならないほど注目度が高く、スティーブ・ジョブスの"Stay Hungry, Stay Foolish"というあまりに有名なフレーズが飛び出したのも、彼がスタンフォード大学の卒業式で講演をしたときのこと。
そんな卒業式のスピーチの中でも選りすぐりのものを抜粋したのがこの本で、その中にメリル・ストリープが2010年にバーナード大学(女子大)で行ったスピーチも登場する。ちなみに他には、トム・ハンクス、Google創業者のラリー・ペイジなど。
そこで彼女は、自分も高校時代はモテるために「男の子にとって魅力的に見える女の子」を演じて同性から嫌われていたが、女子大に進学して、周囲との交流によって本来の自分を取り戻したこと、「プラダを着た悪魔」で自分が演じた編集長役が男性から共感を得たことから感じた変化や、名声・成功が自身にもたらしたものなどが語られている。このクラスの役者になるともう自分のことを俯瞰して認識できているのだなと感じるし、聡明さが伝わる。
そして、最後の方に
本日、講演者として招いていただいたのも、私が多くの映画賞を受賞した著名な俳優だからではないかと思います。
でも私自身は、賞をいただいても、「幸せだ」とか、「満足した」とか、「自分の役目を果たした」とか、そういう風には感じないのです。私は自分が出演した作品に誇りを持っていますが、その作品は多くのスタッフとともに作り上げたもの。私一人でやり遂げたことではありません。
私が幸せを感じるのは、様々な役柄を演じる俳優という仕事を通じて、世界について学び、世界の人々に共感するときです。
と語っていて、世界について学び、世界の人々に共感することに幸せを感じると言っていた彼女だからこそ、今回、ああいったスピーチをする決心をしたのではないかなと思いました。