ロバート・ゼメキス「ザ・ウォーク」
初めて劇場でゼメキス監督作品を見たけど、とっても面白かったので感想を残しておこうと思う。ネタバレしているので、気になる方は読まない方がいいかもしれない。
一番面白かったシーン
渡り終えてからラストシーンまでが最高だった。
「あんな醜い箱で綱渡りをしてどうする」と言われていたにも関わらず、綱渡りに成功して自ら「命を吹き込んだ」はずの世界貿易センタービルが、その後どうなってしまったか、そして、そこから何が始まってしまったか、劇中でわざわざ語らなくてもそのことを知っている私達に向けられたプティ(監督と言い換えてもいい)からの一言と再現されるビルの映像に胸が締め付けられた。
このシーンをみて思い出したのが、去年読んで印象に残っていた、豚を飼い、豚と暮らし、豚と一緒に焼け死んだピギー・スニードについて書かれたジョン・アーヴィングの短編「ピギー・スニードを救う話」だ。
- 作者: ジョンアーヴィング,John Irving,小川高義
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/08
- メディア: 文庫
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感想はここにも書いたけど
あとになって私は気づくことになる。作家の仕事とは、ピギー・スニードの命が助かった場合を想定すること、火事を起こしてピギーを窮地に追い込むこと、そのどちらでもあるのだ。
あとがきでも、様々なアメリカ文学の翻訳を行っている小川高義が
現実には滅んでいったものを滅びなかったことにしてやりたい、せめてカッコよく滅んだことにしてやりたい、という気持ちがはたらいた。書くことで「保存」してやれる。ストーリーにするということは「名前をつけて保存」なのである
と記している。
この映画は、監督なりの世界貿易センタービルひいては911に関するストーリーであると言っても過言ではない。タイミングが良ければ、アカデミー賞を席巻してもおかしくはないような気がするけど、向こうでもあまり評判よくないらしいから理由が気になる〜
雑記
・本来の見せ場の綱渡りのシーンはハラハラドキドキしっぱなしだし(弓矢のくだり、棒がカメラに向かって落ちてくるくだりが特にやばかった)、メンバーを集めるシーンや潜入シーンはオーシャンズシリーズやM:Iシリーズみたいな楽しさがあった。
・予告編を見ていた時は、「これ綱渡りだけで2時間の話持たせられるのかな〜?」みたいな疑念があったけど、そんな心配はご無用だった。
・両親との決別や恋人との出会いなど、引っ張ろうと思えるような部分もサクサク進む点も好印象だった。
・JGL(ジョゼフ・ゴードン・レヴィット)の身体の躍動感は「500日のサマー」や「インセプション」に引き続きすごい