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日々の一部始終

松田青子「ロマンティックあげない」

松田青子さんの新しいエッセイ集「ロマンティックあげない」を読んだ 

ロマンティックあげない

ロマンティックあげない

 

カラフルなワンピースに電動ノコギリという印象的な装画はKelly Reemtsenという人によって描かれたもの。松田さん曰く、ネットでの連載時から単行本になった際は、彼女に装画を依頼しようと思っていたとのこと。前回のエッセイ集「読めよ、さらば憂いなし」など、それまでの作品は名久井直子さんが装幀を手がけていて、それらも素敵だった。

 

「読めよ、さらば憂いなし」の感想は以前に書いたので、読んでみてほしい。松田さんに興味を持ったきっかけなども書いてある。

m-tenenbaum.hatenablog.com

 

「読めよ、さらば憂いなし」では、小説・マンガ・ドラマなどがメインで書かれていたが、「ロマンティックあげない」では普段の生活の中で気付いたことなどがメインで書かれている。

いくつかのエッセイの切り口は、海外文学に精通しているという類似点もあって、どこか岸本佐知子さんのエッセイを思い出させる。瑣末なことから段々妄想が膨らんでくる感じ。(書いてて思ったけど、エッセイって元来そういうものかもしれない...)

ねにもつタイプ (ちくま文庫)

ねにもつタイプ (ちくま文庫)

 

 こっちはまだ読んでないから早く読みたい 

なんらかの事情 (ちくま文庫)

なんらかの事情 (ちくま文庫)

 

 

話を「ロマンティックあげない」 に戻して、印象的なエピソードを3つあげる

1. 隣の席の人

2. 時代は特に変わっていない

3. 「心のこもった」はタチが悪い

 

1は、自分が思い入れのある映画館でのエピソードだから嬉しくなった。2・3は、社会的な事象について語ったエピソード。松田さんは前のエッセイでもそうだったけど、そういった事象でも意見をいうことを恐れないし、尊敬できる大人の女性って感じがしてそこも好き。

生活や仕事をしているだけなのに、ただその場にいるだけなのに、トンチンカンな言動が爆弾みたいに投下される。その瞬間のアホらしさ。そしてそれに気を遣って笑わなければいけないむなしさ。一人でもそういう木枯らし気分を味わう人がいる限りは、時代は変わっていない。

 

「問題のあるレストラン」とか好きな人にも読んでもらいたい。

もちろん、そういった社会的なトピックだけでなくて、バレエ「白鳥の湖」に興奮した話とかユーモアのあるトピックもあるので気構えず読めますよ〜