2017年2週目のこと その2
1月2週目のこと。その1はこちら
11日(水)
図書館で勉強しつつ、本を読んだ。
最初はこれ。
卒業できれば来年からは営業の仕事につくことが決まっているけれども、そんなに営業に適性があるとも思えないので手に取ってみた。とりあえず、営業ってのは断られるのがデフォルトで、そこで心が折れないためには、自分の内面の葛藤をひとまず置いておいて、自分の役割を具体的に認識しておきましょうって話だった。
ユリイカのアメリカ文化特集も読んだ。
ユリイカ 2017年1月号 特集=アメリカ文化を読む ―カウンターカルチャーの新しい夜明け―
- 作者: 大和田俊之,ブレイディみかこ,渡辺由香里,磯部涼,吉田雅史,藤井貞和,長谷川町蔵,大山エンリコイサム
- 出版社/メーカー: 青土社
- 発売日: 2016/12/27
- メディア: ムック
- この商品を含むブログ (1件) を見る
長谷川町蔵さんの、イーストウッドの「グラン・トリノ」の主人公にトランプ支持者のマインドセットを見出すという記事が面白かった。ちなみに自分も「グラン・トリノ」の世間での圧倒的な評価の高さにいまひとつピンときていない。その時期なら「インビクタス」の方が好き。
「ラップは”いま”を映しているか」を読んだこともあって、とりあえずこれ早く読みたいなって思った。
ラップ・イヤー・ブック イラスト図解 ヒップホップの歴史を変えたこの年この曲
- 作者: アイスT(序文),シェイ・セラーノ,アルトゥーロ・トレス,小林雅明
- 出版社/メーカー: DU BOOKS
- 発売日: 2017/01/06
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
12日(木)
やりたいこと・やらないといけないことがごちゃごちゃしていて気持ちが落ち着かなかったので、とりあえず色々書き出して、テストまでの勉強の計画を考えたりしていた気がする。とりあえずこの日も早起きできなかったと思われる。
確かこの日に年末からちょこちょこ見ていたブリット・マーリング&ザル・バトマングリ「The OA」を最後まで視聴した。
ブリット・マーリングは松田青子さんの「ロマンティックあげない」に書いてあった
映画の脚本を読むと、女性が二人だけのシーンになると、必ず男の話をしている。女性に関するこういうものの見方を増長する手助けをするほどには、自分の仕事を好きじゃない
って答えたインタビューで気になっていたし、共同監督のザル・バトマングリは、弟がVampire Weekend(大好き!)のロスタム・バトマングリだったのでもうこれは見るしかないとNetflixにあがったときから思っていた。
ちなみに松田青子さんのエッセイの感想はこちら
The OAは、とにかく丁寧に世界観を築いているなという印象。臨死体験や見た人が話題にする謎のダンスを含めてすごくオカルトな題材なんだけど、それを冷たく綺麗な画面や役者の演技で本当にその世界が実在するような説得力があった。
あと気になったのは、1話が71分、2話が58分、3話が61分のように各エピソードで時間がバラバラになっていたこと。日本のドラマと違って、脚本が最後まで完成した状態で撮影して、全体の物語からうまく8話に分けたのかなと思った。
13日(金)
知り合いが読んでいたのに触発されて、綿矢りさ「手のひらの京」を読んだ。
留学中に読んだ「かわいそうだね?」や「勝手にふるえてろ」にあった尖った部分が丸くなっていた気がする。
川島雄三「しとやかな獣」も見た
去年履修した映画の授業でオープニングだけ見て、劇伴が実験的すぎて度肝抜かれた作品。2017年に見てもかなり新鮮。団地に住み、家族ぐるみで人を騙して金を集めようとする家族と、その被害にあう人と、その家族から更に金を奪おうとする人が集まるブラックコメディで、年末に見た溝口の「赤線地帯」に引き続き、強かな女性を演じた若尾文子をはじめ、登場人物の一筋縄じゃいかない感じとトリッキーな演出が頻繁に飛び出すので、団地の一室からほとんど外に出ることがないということを忘れてしまうほど飽きないで見てられる。
14日(土)
この日は、スタバで勉強していたら隣の席の人も同じ法律の勉強しているし、マリメッコのペンケースも同じだしで気恥かしくなったり、健康ランドに行って岩盤浴デビューしたら、想像をはるかに上回る気持ち良さで癖になりそうになった休日でした。
2017年2週目のこと その1
8日は午前中に用事を済ませて、午後はのんびりしていた記憶。
Pictured Resortのジャケットを担当していたこともあり、ちらちらTLで名前を見かけていた石山さやかさんのデビュー作を読んだ。
「断片的なものの社会学」の岸さんが推薦していたことも納得のお話だった。何事もない日常のその何事かを丁寧に掘り起こす話。青春ゾンビでのレビューもとても素敵。
夜は、tofubeatsといしわたり淳治と蔦谷好位置が出てた関ジャムをたまたま見たけど、面白かった。青森の高校生がここまで来たのかって勝手に感慨深くなる。この本もよく読んでた。文庫じゃなくてハードカバーのやつ。
9日は、なぜか親とうなぎを食べに行った。うなぎって値段と味が釣り合っていないと前々から思っていたけど、そこのうなぎは美味しかったし、サービスが行き届いていた。
あと、迎賓館が無料開放日だったので、初めて行ってみた。ウィーンに行った時のことを思い出した。時間帯が悪くて、逆光になるせいであまり綺麗な写真が取れなかった。
夜は、「ヒムケン先生」と借りてきた「ビューティー・インサイド」を見た。
ヒムケン先生のゲストで飯豊まりえさんが出てたけど、日村さんと並ぶとパシフィックヒムのことを思い出して笑ってしまう。カメラ担がされたときに「これやってみたかったんです〜」って反応する飯豊さんがめちゃくちゃキュートだった回。
ビューティーインサイドは毎日姿が変わってしまう主人公が恋に落ちる話。いくらでもコメディっぽい話に持っていける題材なのに、王道ラブストーリーからブレないし、見た目の変化を自分がどう受け入れるか、他人にどう受け取ってもらえるか、それを踏まえてどう行動していくかっていうコミュニケーションの話として面白かった。
画面が綺麗で見惚れるし、ロマコメでも韓国映画レベル高え〜っていうことを改めて知る一本、あと少し時間が短ければ何も言うことがない。
去年気づいたら韓国映画を全然見てなかったので、今年は意識してチェックしていきたい。
あとはゴールデングローブの行方をTLから追っていた。オープニングムービーは、司会のジミー・ファロンと豪華ゲストが「ラ・ラ・ランド」の曲に合わせて踊るものだったんだけど、その一角に「ストレンジャー・シングス」の子供たちがいて、しかもかなり長い尺割かれてて、改めて人気を実感。そして、劇中で良いやつなのに余りに可哀想な扱いを受けるので、逆に人気がでているバーブも登場!
Jimmy Fallon's Golden Globes Cold Open
「ストレンジャー・シングス」がいかに過去の名作から影響をうけているかをカット割りから分析している動画が面白い。
あと、同時期に聞いていたこともあるけど、このドラマを見るたびにくるりの上海蟹の歌のこの歌詞を思い出す。
ずっと泣いてた 君はプレデター
決死の思いで 起こしたクーデター
もういいよ そういうの
君はもう一人じゃないから
話はそれるけど、「ラ・ラ・ランド」めちゃくちゃ楽しみなんだけけど、いかんせん公開遅すぎでは。ベトナムに行った時に仲良くなった現地の大学生が、fbにベトナム語で感想書いていて、もうベトナムでも公開されているのかとおどろいた。
10日は、10時頃起床。
去年の秋からのんびりしすぎた結果、朝10時に起きられるかどうかみたいな暮らしをしていて、自己嫌悪に陥ることもしばしばあったけど、最近は逆に今しかできない贅沢だとも考えて、なんとかやっている気がする。
大学の授業に行ったあと、前日のメリル・ストリープのスピーチが話題になっていたので、こんな記事を書いてみた。
あとは、ちょうどある企業のインターンに参加している後輩の相談に乗る。もっとハウツー的な意見が欲しかったのかもしれないけど、わりとメンタル面よりの話を進めてしまったので少し反省。
大学では映画の授業を取っていて、黒沢清の「トウキョウソナタ」や矢崎仁司の「磨トロベリーショートケイクス」を見ながら都市の描き方について考察してみるみたいな回だった。トウキョウソナタはこんなブログを書いてしまうくらい好き
2017年1週目のこと その1
2017年は映画や本の感想だけでなくて、日々のことも書いていこうかなと思う。
2017年は「継続」や「習慣」をテーマとして意識して過ごしたい。
元旦、朝は家族でおせち食べてのんびり過ごして、午後は天皇杯の決勝を見る。
序盤、中村憲剛に鬼の形相で迫る小笠原の姿にこの試合に対する気合いを感じ(ガットゥーゾみたいだった!)、準決勝での負傷を押して出場した山本脩斗の先制点でぶちあがる。後半は、フロンターレとのコンディションの差が明白でハラハラしたけど、なんとか同点でしのぎ、延長で退団が決まっていたファブリシオのゴールが入ったときはガッツポーズ。金崎夢生不在だったけどチーム一丸で勝ち、良い2016年シーズンの締めくくりだった。2016年シーズンは3試合スタジアムに見に行ったけど、2017年は5試合は見に行こうと心に誓った。
サッカー観戦後は、ファーストデーなのでチャリで早稲田松竹に行き、小津安二郎「晩春」を見る。正月っぽいと思って以前から構想していた。
見たあと色々感想を探していたら、やたら「壺」のことが書いてあって、何のことを言っているんだろうと不思議な気持ちになる。その後、蓮實重彦などがその壺を巡って論争があったことを知る。見ているときは余裕で見過ごしていたので、自分の見る力のなさを実感する。
2日は、箱根駅伝と「ご本、出しておきますね」を見た記憶しか残っていない。
箱根駅伝は、早稲田のことが気にかからないわけではないけど、別に勝たなかったからどうってことでもない感じ。結局早慶戦も1回も見に行かなかったなぁ。
「ご本、出しておきますね」は、村田沙耶香が「小説で人を救っていきたい」としれっと言っていて、かっこよかった。朝井リョウが恩田陸の「蜂蜜と遠雷」とさくらももこのエッセイを勧めていた。さくらももこは同じ誕生日であることがつい先日判明したので、今年は強化年間にしていきたい。
3日(と7日もだけど)は中高の部活の友達とサッカーをする。
8時半集合でサッカーをした後にみなとみらいの万葉倶楽部にいく流れは、去年に引き続き恒例行事になりつつあるイベント。社会人として働いている子、医者や弁護士を目指して引き続き勉強している子、アメリカの大学の博士課程に進む子もいて、近況報告に花が咲いた。多少エモい話もした。 12歳くらいからの友達だけど、みんなもう他の居場所があって、そこでは私が知らない姿があるという事実に猛烈にグッとくるときが最近しばしばある。
その2へ続く
2017年1週目のこと その2
1月1週目のこと。第1弾はこちらから
4日にはアップリンクの見逃した映画特集で「スポットライト 世紀のスクープ」を見る。
めちゃくちゃ面白かった!信仰にまつわる問題やお仕事映画としての面白さもあるけど、ボストンの「街」に住む生え抜きとよそ者について語られた映画だった。
ボストン・グローブ社に新任した局長(よそ者)が最初に「バンビーノの呪い」(ベーブ・ルースがボストン・レッドソックスからニューヨーク・ヤンキースに移籍して以来、レッドソックスがワールドシリーズで勝てなくなった逸話)にまつわる本を読み、最初の編集長会議みたいなシーンでも、ペドロ・マルティネス(当時のレッドソックスのエース)に関する話に興味をそれほど示さず、いきなり教会の事件に踏み込む。
一方でボストンの生え抜きである記者たちは、ボストンにまつわる慣習に無意識に囚われていて、教会の暗部に踏み込む新局長や弁護士をうさんくさい人扱いするけど、彼らとの交流を通じて、ボストンにまつわる「呪い」を解いていこうとする。そして、彼らのボストンっ子としての強みが活きる。事件の被害者から被害状況を聞き出そうとする際に、地元民ならではのトークで共感を示そうとする。こういった脚本の妙を感じながら楽しめた。フェンウェイパークやクラムチャウダーが出てくるのもボストン映画だった。
アップリンクの見逃した特集は、去年も「グッド・ストライプス」を見たので、これまたお正月の恒例行事になりつつある。嬉しい。
5日はAirbnbやっている知人に頼まれて、香港からの観光客夫婦を上野駅に迎えにいく。彼らと待ち合わせをする際の目印として自分の服装を伝えたところ、向こうはその返信で自撮りを送ってきて、なんとなくグローバルを感じた。自分は自撮り送れず。会って話してたら、「日本人は英語が話せない人が多いけど、君は違うね」的な褒められ方をされて、まぁそんなひとくくりにしなくてもと思うけど、ほめ言葉を素直に受け取った。
待ち合わせの前後に遅ればせながら植本一子の「かなわない」を読む。
子どもを産んだら「お母さん」になれるんだと思ったらそうじゃなかった。私は自分が生まれた時から何も変わっていない気がする。子どものままかと言えばそうではなく、ただ知恵だけがついた。お母さんであり女であり少女であり私なのだった。「お母さん」だけになれたら、こんなに苦しい思いをすることもなかったのだろう。私はいろんなものに未練がある。
周りに母親になった人がいないから、母親になるってことのリアリティがビシバシ伝わってきた。
あと、ECDの奥さんってことは内容紹介から知っていたけど、シャムキャッツ・cero・スカートなどとも交流がある人というのは知らなかったので、5年くらい前の東京のインディーシーンを振り返る面白さもあった。 次出るこれも読みたい。
ちょっと運動を兼ねて、上野までチャリでいったら、寒さもあって帰り道にまぁまぁバテる。
6日は、普段行かない理工キャンパスにいって、この本を借りた。
あとは、バナおぎドリーのもろもろの話を見た記憶しかない。年末、矢作さんがラジオの生放送で婚姻届を出したのよかった。
メリル・ストリープは以前からスピーチの名手だったことがわかる本 「巨大な夢をかなえる方法」
メリル・ストリープがゴールデングローブ賞の授賞式で述べたスピーチが瞬く間に話題になっていた。
和訳は上のリンクから読める。
英語の書き起こしはここで読める。
実際に話している映像を見たときに、ライアン・ゴスリングのところで会場に笑いが起きていて、その部分を私は聞き取れなくて気になっていたのだけど、書き起こしを参考にすると"like all nicest people"と言っていたみたい。
フットボールとマーシャルアーツをわざわざ引き合いに出したのは上手ではないと思うけど、実際にここまでインパクト出している点に関しては素直に言葉の力を感じる。
そのスピーチを聞いたときに思い出したのがこの「巨大な夢をかなえる方法」という本
- 作者: ジェフ・ベゾス,ディック・コストロ,トム・ハンクス,サルマン・カーン,&9 その他
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2015/03/11
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
アメリカの大学の卒業式講演は日本のそれとは比べものにならないほど注目度が高く、スティーブ・ジョブスの"Stay Hungry, Stay Foolish"というあまりに有名なフレーズが飛び出したのも、彼がスタンフォード大学の卒業式で講演をしたときのこと。
そんな卒業式のスピーチの中でも選りすぐりのものを抜粋したのがこの本で、その中にメリル・ストリープが2010年にバーナード大学(女子大)で行ったスピーチも登場する。ちなみに他には、トム・ハンクス、Google創業者のラリー・ペイジなど。
そこで彼女は、自分も高校時代はモテるために「男の子にとって魅力的に見える女の子」を演じて同性から嫌われていたが、女子大に進学して、周囲との交流によって本来の自分を取り戻したこと、「プラダを着た悪魔」で自分が演じた編集長役が男性から共感を得たことから感じた変化や、名声・成功が自身にもたらしたものなどが語られている。このクラスの役者になるともう自分のことを俯瞰して認識できているのだなと感じるし、聡明さが伝わる。
そして、最後の方に
本日、講演者として招いていただいたのも、私が多くの映画賞を受賞した著名な俳優だからではないかと思います。
でも私自身は、賞をいただいても、「幸せだ」とか、「満足した」とか、「自分の役目を果たした」とか、そういう風には感じないのです。私は自分が出演した作品に誇りを持っていますが、その作品は多くのスタッフとともに作り上げたもの。私一人でやり遂げたことではありません。
私が幸せを感じるのは、様々な役柄を演じる俳優という仕事を通じて、世界について学び、世界の人々に共感するときです。
と語っていて、世界について学び、世界の人々に共感することに幸せを感じると言っていた彼女だからこそ、今回、ああいったスピーチをする決心をしたのではないかなと思いました。
2016年に読んで、響いた本10冊
今年読んだ本の中で印象に残ったものをまとめようと思います。
ちなみに、去年読んでよかった本はこちらに書いてあります。(コメントはテキトーなままだ...)
1. スティーブン・ウィット「誰が音楽をタダにした? 巨大産業をぶっ潰した男たち」
誰が音楽をタダにした? 巨大産業をぶっ潰した男たち【無料拡大お試し版】 (早川書房)
- 作者: スティーヴンウィット
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2016/09/07
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
こないだ感想を書いたばかりだけど、やっぱりこの本はちょっとずば抜けて楽しかった。カルチャーとビジネス、持たざるものの野心と権力を持つものの野心、といった部分が描かれている本
2. チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ「半分のぼった黄色い太陽」
- 作者: チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ,くぼたのぞみ
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2010/08/25
- メディア: ハードカバー
- クリック: 16回
- この商品を含むブログ (14件) を見る
今年は、今の海外文学に意識的に取り組んでみたのだけど、その中でも最良の作品だったと思う。この本を読んだのと同じ時期に「この世界の片隅に」を見たことによって、戦争の中で日常を生きることをどう表現するのかについて色々思いを馳せました。
3. コルム・トビーン「ブルックリン」
映画も好評だったけど、小説もオススメしたい。きちんと自分で選択して自立していくことを丁寧に描いた(しかもそれが今より困難とされる時代において)普遍的な良い話。朝ドラっぽさがある。
4. エトガル・ケレット「あの素晴らしき七年」
新潮クレストブックスから出る本はハズレ知らずだけど、その中でも特によかった話。アディーチェの小説もそうだけど、行ったことのない地域に住む人々の暮らしやそこで芽生える感情に思いを馳せ、どこか懐かしい気持ちになることに気づかされることが多かった。
5. チャディー・メン・タン「サーチ・インサイド・ユアセルフーー仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法」
サーチ・インサイド・ユアセルフ――仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法
- 作者: チャディー・メン・タン,ダニエル・ゴールマン(序文),一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート,柴田裕之
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2016/05/17
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (2件) を見る
2016年前半は就活があった。そんな中、働く環境は似ているのに充実してそうな人とそうじゃない人がいるのってどうしてなんだろう〜みたいなことがずっと気になっていた。(今思えば働く環境以外にも、家庭のことなども、その人が充実してるように見えるかどうかには影響すると思う)。そんなことが気になってる所で読んだ本。
6. クレイトン・M・クリステンセン「イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ 」
イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ
- 作者: クレイトン・M・クリステンセン,ジェームズ・アルワース,カレン・ディロン,櫻井祐子
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2012/12/07
- メディア: 単行本
- 購入: 9人 クリック: 51回
- この商品を含むブログ (18件) を見る
こちらも「サーチ・インサイド・ユアセルフ」と同時期に気になった本。著者の専門分野である経営学での知見を人生論に落とし込んだ話。
「自分の血と汗と涙をどこに投資するかという決定が、なりたい自分の姿を映し出していなければ、そのような自分になれるはずもない」
7.フランクル「夜と霧」
- 作者: ヴィクトール・E・フランクル,池田香代子
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2002/11/06
- メディア: 単行本
- 購入: 48人 クリック: 398回
- この商品を含むブログ (372件) を見る
時間に余裕があるときに名作といわれる本を読んでおくべきだなーと思って手にとった本。
「あなたが経験したことは、この世のどんな力も奪えない」
8. 最果タヒ「きみの言い訳は最高の芸術」
岸本佐知子さんの帯文につられて手にとったけど、面白かった。
「今生まれている作品には今生まれた価値がある。それは音楽だけじゃなくて、本だって、漫画だって、映画だってなんだってそうで、だからこそもうなんだってある、素晴らしいものはなんだってある今みたいな時代でも、私はものを作っている」
9. 松田青子「ロマンティックあげない」
松田さんの勧める小説、映画、漫画にたくさん触れた一年だった。
10. 沙村広明「波よ聞いてくれ」
就活中、Webテストやるついでで満喫にいくことが多くて、そのときに「プリンセスメゾン」、「地獄のガールフレンド」、「四月は君の嘘」、「働きマン」など色々読んだ漫画の中で特に面白かったやつ。高校生のときの修学旅行に持っていた「シスタージェネレーター」を思い出した。新宿にカレー屋さんの元ネタになっている場所があるみたいなので行きたい
スティーヴン・ウィット「誰が音楽をタダにした? 巨大産業をぶっ潰した男たち」
2ヶ月ほど待って、昨日ようやく図書館で借りられたこの本がべらぼうに面白く、興奮冷めやらぬままこのブログを書いている。
誰が音楽をタダにした? 巨大産業をぶっ潰した男たち【無料拡大お試し版】 (早川書房)
- 作者: スティーヴンウィット
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2016/09/07
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
簡単にあらすじを説明すると、出自のバラバラな3人が主人公で、1人目はmp3という技術(身近すぎて誰かが作った技術だという概念なさすぎた!単位のような感じで接していた!)を作り出したドイツ人の技術者ブランデンブルグ、2人目は傍から見れば成功者ではあるが実は大した功績を残していないと感じていたレコード会社のCEOダグ・モリス、3人目は田舎のCD製造工場で働く勤勉だけど、遊ぶためのお金が欲しい青年グローバー。
彼らがいかにしてそれまでの音楽業界のビジネスモデルを変えてしまったかが克明に描かれているんだけど、根っこにあるのは既存の権威や政治力に対する反発みたいなものだったりして、そういう個人の身も蓋もない思いが、テクノロジーの力を使って、想像を絶するほどのインパクトを与えた点で大好きな「ソーシャル・ネットワーク」を思い出したり!
50セントはバカでかいダイヤのピアスをしていたし、ビタミンウォーターにも投資していた。カニエはスーパーモデルと付き合い、30万ドルもするらしい金のファラオのようなネックレスをこれ見よがしにつけていた。ダグ・モリスは2ヶ月前にセントラルパークが一望できるコンドミニアムを1000万ドルで買っていた。それにひきかえ、グローバーは工場で年間3000時間も働き、養育費を払いながらゴム手袋とベルトのバックルを使って音楽業界のみんなを打ち負かしていた。
「ソーシャル・ネットワーク 」の他に思い出した映画には、「ストレイト・アウタ・コンプトン」があった。N.W.A解散以降、ドクター・ドレを始めとする人々が政府関係者の圧力に負けずにヒップホップシーンを盛り上げていった背景には、今作の主人公でもあるダグ・モリスのような音楽業界のビジネスマンの思惑や野心が反映されていたことなどが書かれている。そして、彼らによってヒップホップが人気のジャンルとして定着した結果、シングル重視(アルバム軽視)の風潮が生まれ、最終的にはCDという媒体の衰退に結びついた、なんていう皮肉な結末にもつながる。ヒップホップという音楽が、文化だけでなく、ビジネスモデルにまで多大な影響を与えたストーリーとして読んでも面白い。それこそN.W.Wからchance the rapperまで一つの文脈として捉えられる感じ
この本はtofubeatsがインスタに写真をあげてたことがきっかけで興味を持ったのだけど、この本で描かれている時代(1995年頃から2010年頃まで)と、自分が熱心に音楽を聴き始めた時代(2006年頃)がギリギリで重なっていたので、たくさんの知らない情報に驚きつつ、また同時に、リスナーとしての当事者的な立ち位置からも読めたので楽しかった。
途中で、発売前のアルバムをどのグループがいち早くインターネットにリークするかを競争する場面があるんだけど、どのアーティストのアルバムをリークすると手柄として評価されるか、などが描かれていて、そこに出てくるアーティストのチョイスに当時ティーンだった自分はいちいち「わかる!」ってなる。Fall Out Boyの2ndは懐かしすぎる...
本の中で出てくる曲を、すぐにApple Musicで調べて聴きながら読み進めていたけど、これって今だからできることでちょっと前だったらできなかったんだな...とか、TSUTAYAで洋楽のCDは1年くらい待たないと借りられなかったのとかなんだったんだろう...とかリスナー体験を振り返りながら読めるので2000年代に海外の音楽に夢中になった人には特に勧めたいです。